Don Valentineの投資哲学

Don Valentine(ドン・バレンタイン)は、1972年に世界最高峰のVC、”Sequoia Capital”を創業し、AppleやAtari, Cisco, Electronic Arts, Oracle等に投資してきた偉大なるベンチャーキャピタリストです。

僕自身、本を読むのと同じくらい、YouTubeでひたすら著名キャピタリストの動画を見るのが日課ですが、僕が何度も見ている動画の一つに、Don Valentineが自身の投資哲学や経験を1時間語り続けるものがあります。今回は、その下記の動画の中で、僕が学びになった6つのポイントをまとめたメモを公開します。

①投資判断

・Sequoiaの入社面接を受ける候補者に、必ず聞く質問の一つが「なぜSequoiaが成功してきたと思うか?」というもの。
・多くの候補者は、過去のSequoiaの投資実績を引き合いに出して、「最高の起業家を発掘し、投資に成功したからだ」というが、我々は”決してそうではない”。
・なぜ成功してきたのか?それは、「常に正しいMarketを選んできたから」だ。
・我々の目的は、”Big Company”を作ることである。大きな市場で挑戦しなければ、大きな企業を作ることは不可能である。
・上記の理由から、我々は決して起業家自身の学歴や経歴を読んで、どれほど頭が良いか?、を入念に調べ上げることに、ほとんど時間を割かない。
・まず第一に、「Market(市場とそれに対する参入切り口 = 事業機会)」を見る。
・第二に、「解決しようとしている課題が、どれだけ大きいか」。
・第三に、「Sequoiaと一緒にやることで、どんな価値が生まれるか?」。
・つまり、我々は第一に「人」を選ぶわけではない。「投資する市場」を選んでいるのだ。
・Sequoiaでは、「新しいマーケットを作る」タイプの投資は一切しない。何故なら、コストがかかりすぎるからである。我々は、常に「マーケットが立ち上がる初期に、そのマーケットの成長を加速させる投資」に集中する。

②投資戦略

・他のVCとSequoiaが大きく違うのは、決して起業家がやってくるのを待っているだけではない、ということだ。我々は、時に起業家の方へ自らアプローチしていく。
・例えばElectronic Artsは、Don Valentine自ら、当時Appleに勤務していたTrip Hawkinsに起業するようにアプローチし、SequoiaのオフィスでElectronic Arts社を登記し、創業から支援した。当時のSequoiaのオフィスは、自社スタッフの数よりも、Electronic Artsの人たちが多くいるくらいであった。

③投資後の支援

・Sequoiaにおける投資基準では、常に「Market」が第一で、第二に「人」であった。そのため、我々が一緒に仕事をしてきた起業家は、大抵Steve Jobsのような、「ビジネスの経験が全くない、非常に若い起業家達」だった。我々はこうした未熟で若い起業家達が、経営における基本的な間違いを犯さぬよう、会社の方向性を指し示し、そうした若く経験も浅い起業家達が、大きな会社を作り上げていくのをすぐ近くで支援し続けてきた。
・「アウトソースすることの重要性」(=「選択と集中」の重要性)を、常に起業家に教えてきた。何から何まで、全て自社で作ることはほぼ不可能。起業家には、1~2点に集中し、その点だけにおいて他の誰よりも圧倒的に優れた実績を出すように、「選択と集中」の重要性を説いてきた。
・では、集中すべき1~2つのこととは何か?

・1つ目に、起業家が最も集中すべき重要なことは”Technology”
・2つ目が、”Marketing”

・重要な点以外はアウトソースすることも重要。Sequoiaで直近採用した一人は、投資先の会社を横断的に支援するCFOである。

④投資の失敗から学んだこと

・たくさんの会社に投資して、たくさんの失敗があった。
・多額の資金を投じて素晴らしい技術を兼ね備えた製品を作るが、一方の会社は成功し、一方の会社は失敗した。なぜか?それは市場のダイナミクスが原因である。つまり、製品を開発したが、顧客がいなかった。そういう会社は失敗してきた。
・上記のような失敗はすなわち、「新しいマーケットを作る」タイプの投資であった。こうした投資は、コストがかかりすぎて、たいてい上手くいかない。
・我々はこうした失敗から学び、「新しい市場を作る」のではなく、「マーケットの成長を加速させる投資(今後急成長する市場の初期に参入する企業への投資)」に集中することにした。

⑤若い時に学ぶべきこと=「質問の仕方」

・VCは常に、話している相手(起業家)にとって、何が重要かを話してもらい、そして理解することが必要だ。
・Sequoiaでは、「質問をする」ことによって、起業家のやろうとしていること、どれくらい時間がかかるのか、なぜそれをやろうと思っているのか、どれくらいお金が必要なのか、等々を起業家が投資家の圧力を感じることなく、正直に話してくれるようにし、そして理解するよう努めてきた。
・その中で、質問に対する答えを理解できないことも多くあったが、継続して質問を繰り返してきた。
・投資で失敗した時は、Sequoia社内で「何を見逃していたのか?」「どんな質問をしなかったか?」「どんな回答を理解することができなかったか?」を徹底的に振り返り、Sequoiaの投資哲学を磨いてきた。
・起業家は大抵、ストーリーテリング(自分の考えを正確に伝えること)においては全くの素人だ。だからこそ、彼らが簡単に、そして気持ちよく何が適切だと考えているかの本心を伝えれるように、正しく質問することが重要である。
・Sequoiaでは、質問をするときは、20ワード以内にしなければならない、というルールを設けている。簡潔に常にコミュニケーションをとるべき。Don Valentine自身も、誰かから質問されても、20ワード位以上だったら答えないように決めている。

⑥Don valentine自身が語る、誰にも負けない自分の強み

・”自分は、誰にも負けない長所がある。それは、「未来を知っているということ」だ。”
・Sequoiaを創業する前の約20年間、セミコンダクターの業界にいた。今我々がいるインターネット産業のインフラであり、この上に全てが成り立っている。自分は、マイクロプロセッサを発明した会社において、その発明者と長年一緒に仕事をしてきた。
・自分は彼と、今後どのような順番で、このインフラの上にアプリケーションを載せていくかを死ぬほど議論したから、どのように産業がこれから発展していくかを誰よりも知っていた。
・未来を知ることは、VCに役立つのだ。